|
講師:川北良造(重要無形文化財保持者)
平成12年 9月18日更新
![]() 講師による実技
国庫補助による平成9年度・平成10年度重要無形文化財工芸「挽物(ひきもの)」伝承者養成研修会が、重要無形文化財保持者の川北良造氏を講師に迎えて行われた。
期間:平成9年10月4日〜8日(5日間)
![]() 制作指導
第1年次初日の10月4日、轆轤(ろくろ)技術研修所に於いて開講式が行われ、研修会の進行計画及び内容が示された。
木工芸の基本である挽物材と指物材の木取りの違い、使い方の違い、縦挽き、横挽きの基本的な挽き方の違いと使う道具類の違い、縦木材と横木材ではどんな木が作品として適しているか、又何故その木が適さないのか等の講義をして戴く。受講生の大半が縦木挽きに関しては初めて聞く事ばかりで大好評であった。 ![]() 研修生 漆の大木を前に
10月5日、会場を川北工房に移し、道具作りの実習から始まる。縦挽鉋(かんな)、横挽鉋を大作業場で先生自ら作って見せてくださる。受講生の多くが縦木材の挽物の経験はほとんどなく熱心に見学。挽物の道具には既製品は一切ないため全部自分で作らなくてはならないので大変である。
小刀や「シャカ」(鉋の一種)等、色々な道具を見せて戴く。縦木挽きと横木挽きの道具の微妙な違いに驚く事ばかりである。鉋等の<研ぎつけ>をし一日を終える。 10月6日、轆轤の前での実習に入る。昨日作った鉋で素地を挽き上げて行く作業、ここでも縦挽き、横挽きの違い、刃物の使い方の違いを実習する。横木材は盛器、縦木材は甲盛の美しい食籠が出来上る。受講生も順次実習する。
![]() 糊漆を作る
10月7日、工房にて先生より講義を受ける。甲盛の定義と姿、作品別の見附の美しさの定義、蓋物ヤロ、フトコロ、タチアガリの定義、高台のつりあい、畳摺りなど詳細な内容であった。
![]() 山中産荒味漆の布漉し
10月8日、初年度最後の日、場所を轆轤技術研究所に移す。先生の講義、その後質疑応答、5日間はあっという間に終る。講義の中の「工人は、木と対話が出来る様にならなければいけない。木が何を語りかけているのか、何をどうしてほしいのかを感ずる様にならなければいけない。」と言う先生の言葉の重さをひしひしと感ずる5日間であった。最後に先生より学んだ、素地作りの全てを来年度への仮題として作品作りにぶつかってほしいと要望された。
![]() 拭漆実習
第2年度初日、10月4日、川北工房にて開講式、講師の挨拶に続き今年度の実習課程の説明があり、宿題作品の提出が求められる。作品は盛器、丸盆、干菓子器、食籠で、木の種類は欅、神代欅、桑、肥松、黒柿等多種多様である。一人一人の作品全部を手に取られ懇切丁寧に指導をして戴く。 次に今年から始まる拭漆の漆刷毛の用意をする。囲み板を大工鉋で削り、そこに糊漆で布を張る。こうしておけば明日の朝までに漆も乾き使用できるとの配慮、<道具は使いやすく、大切にする>先生の姿勢を学ぶ。
![]() 講師による実技
10月5日、昨日塗り固めた刷毛の漆も乾き、刷毛のニカワ取り、毛の部分を湯にひたし、金槌で軽く毛がやわらかくなる迄たたき、これを根気よく繰り返す。刷毛をよく水洗いして水分を取り、やっと使用可能となる。 次に講師がかねてより一人一人に用意して下さった練り板に「拭漆をするように。」との指示があり初めて拭漆に取りかかる。その後宿題の作品に第1回目の拭漆をする。午後は肥松で拭漆をした作品を見た事がない。これだけは是非、勉強して自分のものにして帰りたい。」と言う。
![]() 刷毛の囲み板作り 10月6日、午前は昨日の講義と実習に基づき拭漆を行う。又肥松作品の拭漆に皆真剣に取り組む。又、桑の渋出しの講義と実習、水研ぎ等の実習もする。 10月7日、今日も拭漆から始まる。まったく根気のいる仕事である。又、神代欅や桑材等その木材独特の拭漆の技法を学ぶ。材料の「フシ、キズの埋木」の講習もお願いする。独自の道具と技術により、見事な修復となり、これも先生の手にかかると見事な作品になってしまう。
![]() 空研ぎ 10月8日、いよいよ川北工房での研修最後の拭漆を皆で行う。相当艶の出た作品もあり楽しそうである。拭漆をしながら質疑応答が行われた。最後に反省会があり、受講生から川北先生に対しそれぞれ感謝の言葉が述べられ二ヶ年にわたる研修会を終えた。
以下に講師より受講生一人一人に提供して下さった道具を記録する。
・ハイス十六ミリカンナ棒 1本 以上 (水上隆志記)
第46回 日本伝統工芸展図録より転載 |

製作著作
社団法人日本工芸会
2000