NIHON KOGEIKAI
第三十六回 日本伝統工芸展
受賞作品解説


1-00194-000-036-00163

日本工芸会総裁賞

たんばかいゆうかけわけとうばこ
丹波灰釉掛分陶筥

西端 正(にしはた ただし)


 丹波焼といえば伝統の焼締め陶という認識が一般にあるが、
丹波には江戸初期以来施釉陶の歴史もあり、江戸初期には
小堀遠州の好みを受け入れた優れた茶陶が焼かれていた。
 このたびの作品は、茶の湯の器として作られたか否かは判らないが、
丹波焼の伝統を踏まえつつ、現代丹波焼の施釉陶として洗練されたものを作りあげた。
これみよがしに技法を見せようとするものではなく、掛分けられた釉のハーモニーも
いかにも地味であるが、どこか観る者の心をとらえる美しさがある。
また筥の形も平凡でありながら、すみずみまで行き届いた配慮があって、
手取りの重さがこの種の蓋物として、当然のことながら実に手頃であった。
 現代工芸はもはや「用即美」の理念から逸脱しつつあるが、
久しぶりの落ち着きのある「用即美」の器にやはり共感を抱いた。

(第三十六回 日本伝統工芸展図録より)



受賞作品一覧へもどる


表紙へもどる

製作著作
社団法人日本工芸会
1989