第五十六回 日本伝統工芸展
受賞作品解説
2-00129-000-056-00350
日本工芸会新人賞
ながいたちゅうがたきじゃく「ななめきっかもん」
長板中形着尺「斜め菊花文」
まつばらのぶお
松原伸生
藍地に柔らかな曲線の斜め柄が律動し、近づいて見ると細密な扇繋ぎのごとき図様が浮かび上がってくる。図様の一つ一つを構成しているのは、非常に繊細な菊花のモチーフ。緯(ぬき)に紬糸を用いた綿絽が、この可憐な意匠に独特の風合と清涼感を演出している。紬糸の凹凸や搦み織の地質は、両面の糊置きに高度な手技を要求するが、この柄の白はどこまでも清澄で、藍とのコントラストが際立っている。見所豊かな秀作である。
(丸山伸彦) |
(第五十六回 日本伝統工芸展図録より)
製作著作
社団法人日本工芸会
2009