NIHON KOGEIKAI

伝統工芸なぞなぞ百科

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(1)鍛金の工程

かたちをつくる

奥山峰石さんは、金属板をたたいて鉢や壷などの器をつくります。朝から晩まで何万回もたたきます。最初は、ただの平らな銀の板が、金槌だけで次第に鉢のかたちになってゆくのはとても不思議です。鍛金の技法には、大きく「鍛造技法」、「槌起技法」、「絞り技法」、「板金技法」の4つに分類されるということですが、今回、奥山さんに見せていただくのは、「絞り技法」です。金属を絞りこみながら成形していくこの技法は、壷や花瓶などのかたちを自由に表現することが可能です。奥の棚に整理してあるのは、金槌を打おろすときに、金属板の裏側にあてる道具です。「当金」(あてがね)といいます。それぞれの作品ごとに違った当金がつかわれるため、いろんなかたちのものがたいせつに保管されています。

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鍛金の仕事は、銀などの金属板を切ることからはじまります。銀はとても高価ですから、切り落とした部分も大切にします。

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底の部分と、側面の部分をあわせて、どれくらいの大きさの円盤を切り抜くのか?これを正確に判断するには永年の経験が必要です。

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平らな銀の円盤にまず木槌が打ち込まれます。木の台の上で地金をあまり薄くしないように打ち続けられます。底の部分が「鍛えられ」ていきます。

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金属は、たたくとかたくなります。ですから、700度ぐらいにまで過熱してゆっくり冷却し、柔らかさを取り戻す 「焼鈍」(やきなまし)作業がおこなわれます。

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鍛金の工房からは、一日中、金槌の音が聞こえてきます。鍛金の絞り技法では、広い口の作品は底部から打たれていきます。写真では、底に少しカーブがつきはじめています。

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奥山さんにおもしろいことを教えていただきました。右のようなかたちの作品をつくる場合でも、まず左のように底を直角のかたちに打ち込むのだそうです。金属の厚みを一定にするのが狙いだそうです。

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絞り技法の途中段階。壷や鉢をつくる場合、まず左のようなお皿状のものをつくり、まん中の鍋のようなかたちに進んで、そして最後に底のかどをまるくしていきます。

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器物が大まかに成形されると、これまでの力強い金槌の音は、繊細な響きにかわります。最終段階では、かたちが整えられ、厚みも均一にされます。

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奥山さんのたいせつな道具類です。への字がたの当金(あてがね)は、微妙なカーブを絞り込むのにかかせません。

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棚には当金がずらりとならんでいます。どれも仕事を終えたばかりなのでしょうか、先端部分はつるつるに光り輝いています。

PHOTO: YASUDA TADASHI
2004/03/08


製作著作
社団法人日本工芸会
2004