NIHON KOGEIKAI

伝統工芸なぞなぞ百科

NAZO-NAZO-023-D-2-PHOTO


(2)加飾の工程

文様をつける

奥山さんが手にしている作品には「打込象嵌」(うちこみぞうがん)というわざがつかわれています。成形された大きな銀の鉢は、それだけでも美しいのですが、奥山さんはその表面の全周囲に、枝垂れ桜を文様として埋め込みました。枝の部分と花びらの部分は色が違いますが、2種類の金属が打ち込まれているからです。桜の花びらが淡い金色の光を放っています。とても上品な、そしてたいへんな力作といえます。

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この作品の場合、枝の部分は黒く見えますが、赤銅(しゃくどう)が象嵌(ぞうがん)してあります。赤銅(銅と金の合金)は 作業中は赤茶色ですが、仕上げの工程で紫黒色にかわります。

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桜の花びらの部分には、14金の板(厚さ0.4ミリ)を細かく五弁にくりぬいたものが象嵌されています。その数、何と11,919枚。上品な色合いを出すために、14金づくりは試行錯誤の連続だったそうです。

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加飾の工程で、奥山さんは構想を練ったあとに、その文様を薄い紙に原寸大に描きます。写真は、別の作品のために枝が細かく描かれたところです。

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枝振りの全体像は、このような感じになりました。この絵柄が作品の周囲を飾ることになります。

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奥山さんは、桜や藤、コスモスなどを最近のテーマにされています。次回は、故郷の山形に近い福島県三春の枝垂れ桜をテーマにしようと考えておられます。

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下絵ができると、それを四分一(しぶいち)や赤銅(しゃくどう)などの金属板の上に貼り、糸のこで細かく切りぬいていきます。

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厚さ0.4ミリの金属板は弱いので、細い枝の部分を切り抜くのには細心の注意が必要です。

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切りとられた文様部分は、器物の表面に鑞付(ろうづけ)されてから、最初は木槌、続いて金槌で埋め込まれます。

PHOTO: YASUDA TADASHI
2004/03/08


製作著作
社団法人日本工芸会
2004