NIHON KOGEIKAI

伝統工芸なぞなぞ百科

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(3)仕上げの工程

美しく仕上げる

鍛金のわざでつくられる作品は、ほかの金工作品と同じように最終段階で表面処理されます。この仕上げの工程により、作品は金属的な冷たい印象がやわらぎ、深い味わいのあるものへと変容します。写真の作品の場合、内側の金の部分とは対照的に、外側の表面は、美しい燻し銀(いぶしぎん)になっています。作品に細かい金剛砂(こんごうしゃ)や真鍮(しんちゅう)の粒子をかける「荒らし」というわざのあとに、硫酸銅などの薬品をつかった処理おこなうとこのような効果があらわれます。奥山さんは、この仕上げの工程を「仕上げ師」の原金四郎さんの協力をあおいでおこなっています。

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仕上げ師の原さんが、工房で大根をおろしています。金工作品に大根おろしっていうのは奇妙ですが、仕上げの工程に大根の汁は欠かせないのだそうです。

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「荒らし」で表面加工した後に、作品を液体につけて化学反応させますが、この時、液体がまんべんなく作品につくように大根の汁をかけます。

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今、大根の汁をかけています。現代でも、大根にとってかわる、いい代用品は見つからないそうです。

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写真は、作品を「煮汁」につけているところです。煮汁とは、緑青(ろくしょう)と硫酸銅(りゅうさんどう)を混ぜたものです。この液体には何回もくりかえしつけられます。

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だんだんと煮汁の温度があげられていきます。まるで錬金術のような秘伝がここにあります。

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金や銀の部分は、煮汁に化学反応しません。写真の場合、木の枝の模様の部分に、赤銅(しゃくどう)が打ち込まれており、少しずつ変色しはじめています。

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打込象嵌(うちこみぞうがん)が、保護ニスの奥に透けて見えます。このニスを洗い落とした後、作品には「古美」(ふるび)という液体が塗られます。

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「古美」(ふるび)とは、ヨードです。強い太陽光にあてると、作品はみるみる感光して黒くなっていきます。

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この後、作品は重曹液で慎重に洗われてから乾かされます。太陽にあてる工程は2度繰り返されるのがふつうです。

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「荒らし」によってできた細かい凹部に、「古美」(ふるび)が残って美しい燻し銀になりました。木の枝振りは紫黒色です。これで作品の完成です。

PHOTO: YASUDA TADASHI
2004/03/08


製作著作
社団法人日本工芸会
2004