NIHON KOGEIKAI

伝統工芸なぞなぞ百科

NAZO-NAZO-024-C-1


「四分一」(しぶいち)


四分一(しぶいち)は、銅と銀の合金です。
割合は、銅が3/4、銀が1/4、
銀の比率が1/4なので、四分一と呼ばれます。

ここまでが基本です。

しかし、この表現は少し間違っています。

なぜなら、四分一(しぶいち)には、
「金」がほんの少しだけですが混ぜられているからです。

なぜ、日本の金工作家たちは、
「金」を混ぜることをはじめたのでしょうか。

それは、日本人の美意識によるといえそうです。

四分一(しぶいち)は、
またの名を、「朧銀」(ろうぎん・おぼろぎん)といいます。

少しだけ「金」を混ぜることで、
銅と銀の合金による作品の表面には、
朧(おぼろ)げに、結晶が浮き出てきます。

合金をつくるときに偶然あらわれる結晶模様、
日本人は、古来、その文様を美しい景色として
愛(め)でてきたようです。

人工の作品が放つ「自然美」。

具体例をひとつ見てみましょう。


拡大写真

蝋型朧銀アブシンベルの壷「銀河」
(ろうがたろうぎんあぶしんべるのつぼ ぎんが)

齋藤 明
2000年
(齋藤明鋳金作品集より)

壷の表面に、偶然に浮きでた模様がはっきりみえます。

専門家は、これを
「おもしろい「斑」(ふ)が出ている」と、
珍重します。

このように、日本の伝統工芸の作品は、
生活の道具として日々使われるものですが、
同時に、暮らしを豊かにする
「美」の結晶であることも求められています。

「四分一」(しぶいち)の名が、
ひろく世界に知れわたったということは、
海外にも、日本の美意識に共感する人たちが
数多くいることを証明しているといえそうです。


製作著作
社団法人日本工芸会
2004