NIHON KOGEIKAI

重要無形文化財「羅」伝承者養成研修会

講師:北村武資(重要無形文化財保持者)

平成12年 9月18日更新



  工房機場

 国庫補助による平成8年度・平成9年度重要無形文化財「羅」伝承者養成研修会が、重要無形文化財保持者の北村武資氏を講師に迎えて行われた。

 期間:平成8年度9月〜12月 第2土曜日・日曜日 8回
    平成9年度4月〜7月  第2土曜日・日曜日 8回
 場所:北村工房(京都市・西陣)
 受講生:10名(日本工芸会染織部会会員)
 内容:初年度 平綜絖等による基礎技術の実習
    次年度 羅・絽・紗などもじり織の実習


機の調整、織出し指導

 第1年次初日の9月14日はルビノ京都堀川において、研修会の進行計画及び内容が示された後、北村武資先生からスライド映写による「織技の応用と展開」と題して講義を受けた。作品スライドを見ながら、制作意図と織技術・織組織の研究と応用について、制作当時の思いを伺うとともに織物に対する基本姿勢を学んだ。その後、場所を実習の場となる北村工房に移して見学した。

9月15日は織機を組み立てるところから始まった。まず骨組を組み立て、千切・鳥居・踏木・付属部品等を取り付けていく。そして最後にあらかじめ準備してあった綜絖と筬(おさ)、経糸を設置する。北村先生自らが機の調整、織り出しの手本を示された後、全員が順次試織をする。

10月12,13日いよいよ実習が始まる。二人ずつ組になって準備された機で作業を行った。第1年次が6種類7台、第2年次が6種類6台で、合せて8種類の織機であった。


羅機実習

11月9,10日 北村先生の羅織を見せていただいた。複雑で繊細な機がリズミカルに動き、糸がからまっては解けて、まるで魔法をみているようであった。つづいて近くの川口工房で最新の自動織機を見学した。

再び実習。今回からは新しく下図を自分たちで考え、紋図を描き、紋綜(紋様を織りあらわすための工夫)を入れ直して織り進めていった。途中、特別講師として佐藤四郎氏を招き、紋綜の作り方や綜絖について学んだ。

12月14,15日 研修生全員が順次交代で6種類の機を確実に織りなす事を目指した。第1年次の締めくくりとして、京都府無形文化財保持者による「伝統と創生」展(京都文化博物館)を観賞し、反省会をもった。


製織指導

 第2年次初日の4月12日は京都府文化芸術会館において、第1年次研修会の記録ビデオを見て、基礎実習を振り返った。次いで特別講師として切畑健先生(大手前女子大学教授)を迎えて「織の魅力-組織の不思議」と題して、スライドにより名物裂の組織と特徴について、ご講演いただいた。
  4月13日第2年次の実習がスタートした。もじり織を主とした機が用意され、各々の機についての説明があり、その後試織した。とくに羅の機の試織が中心となった。


製織実習

 5月10,11日 松下美術苑真々庵において庭園を観賞し、重要無形文化財保持者の展示作品を見学。その後の実習により各々の機の構造・特徴・操作の理解を深める。

6月14日から7月13日まで全員がそれぞれの機に向かえるように組まれたカリキュラムにしたがって織り進める。
最終日、受講生がある程度の長さに織りあげた裂について話し合いの場をもち、研修は終った。


経糸つなぎの実習

研修会で使用された機について記しておく。

1)紋綜機
 平組織に経糸を持ち上げる紋綜絖を工夫したもので、平織の間に紋糸を通し、織紋をあらわす。
2)綾紋綜機
 綾組織に紋綜絖を加えて織紋を綾でとじる織り方。紋糸をいれることにより綾とじ紋様が入れられる。
3)フルエ機
 平組織にフルエを加え、平織・紗織・絽織・もじり変化織が織れるように工夫し、平綜絖の粗、密も加えて変化をつけた機。
4)紋紗機
 平組織にフルエを加え、平織と紗織を組み合わせて地紋が織れるように工夫した平織・紗織・絽織が織れる機。
5)綴織
 平組織で緯糸にゆとりをもたせて、経糸をつつみこむように織る。緯糸で紋様を表す。
6)紬機
 経糸の機つなぎの技法をデザインにとりいれた平組織の機。太い紬糸で織る。
7)経錦機
 色別綜絖と地綜絖をによって経糸で紋様をあらわす。母緯(おもぬき)により組織をつくり、陰緯(かげぬき)によって紋様をむいとる。
8)紋羅機
 地・フルエ・紋の三つの綜絖を操作して、籠もじりと網もじりによって紋羅を織る。

(細見 巧記)


第45回 日本伝統工芸展図録より転載



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2008