NIHON KOGEIKAI

重要無形文化財「木工芸」伝承者養成研修会

講師:中川清司(重要無形文化財保持者)

平成18年 9月26日更新


 国庫補助による平成16年度、17年度重要無形文化財「木工芸」伝承者養成研修会が重要無形文化財保持者の中川清司氏を講師に迎えて行われた。

期間:平成16年11月3日〜7日(5日間)
   平成17年11月5日〜9日(5日間)

場 所:中川宅 京都市内(浄土寺真如堂付近)

受講生 7名

聴講生 2名

助 手 2名

内 容:1年度 (1)図面の制作と木画の型づくり
        (2)板状になった木画の裏打ち作業         
    2年度    箱の組み立てと研磨


 寄せ木の説明

第1年次 図面の制作と木画の型づくりを中心に行った。柾合わせの基本形と別に“曲線に寄せる”中川先生のオリジナルの技法を学ぶ。

11月3日 柾合わせの展開には四角形、六角形、八角形といった基本になるものがあり、そのほかには曲線に寄せる中川技法とも呼ぶべきオリジナルの技法の説明があった。それは桶の工法に正直型と言われる木型を使う技法があり、曲線も自由自在に寄せ木することが可能であることを作品に添って説明して頂いた。

11月4日 支給されたボードにボール紙を敷き三角定規、50センチものさしを使用し試案にとりかかる。

各自の個性が出たものが多く、先生の長年の経験からのアドバイスにより、より完成度の高いものになる。

 図案制作

11月5日 アクリルを使用し図案から切削角度を写しとって、切り出しナイフを使用し定規にそって正確にカットし、角度の正確さが生命線のため微調整する。

今回支給して頂いた神代杉の柾目板にカットしたアクリル型をあてがい、木目や色のどの部分を使用するかを決める(木取り作業)。

木の場合、同じ木目が二つとないので作品に合わせて木目(年輪)の荒いところや細かいところ、微妙な色の選択で作品の品格が決まるほど大切な作業だと先生の指導があった。

板に直接鉛筆で寸法取り(墨付け)をして、バンドソウ(電動帯鋸)での切断の下準備に取りかかる。

 墨付け

11月6日 神代杉に墨付けをした厚板(約36ミリ)の切断に取りかかっていった。

注意点としては、表板の部分と裏板の部分では多少木目が流れている場合もあるため、墨付けした線より全体に3ミリくらい大きめに切断しておく方が後に微調整がきくと指導があった。

 バンドソウによる切断

切断したピースを木片に貼り付けたサンドペーパーで鉄定盤を使って角度の微調整をし、次におよそ36ミリのピースを3ミリ厚の部材に切断していった。

厚みにした部材を仮組みし、切断した部材をピース組みされた全ての部材に隙間がないか鉄定盤上で入念に確かめながら作業していった。

仮組みができた後、先生から接着剤として使うソクイ(ご飯粒と木工ボンド)の分量配分や練り方の指導が詳しく行われた。

 切り上がったピース部材

11月7日 先生から木画のピースの木口(厚みの部分)にソクイを指でつけて、前後にすり合わせる技法が紹介される。 木画のピースが組み上がり1枚の板になる。

次に、台木(木画のピースを貼り付ける板)にする神代杉の柾目板を3ミリから4ミリ厚に鉋で仕上げて、木画の板を台木との接着面を鉋で付きのよいように仕上げた。

エポキシボンドを木画の板と台木の両側にヘラで塗り、重石をかけて接着した。 先生から1年次の実習について講評を頂き終了になった。


第2年次 箱の組み立て、表面の研磨までを行った。

11月5日 目違いを払う(木画の板の厚みをそろえるための鉋がけ)作業へと進む。 鋸を使って寸法に切っていく。

11月6日 箱に組み上げていく下準備に入り、貼り付けた木画の板を図案寸法どおりに鉋で微調整する。

寸法どおりになった板を留形隠蟻組にするためのホゾの墨付け作業へと進んだ。

箱の組み手を鑿や工夫した刃物で作業していく。

糊(ソクイ)しろを考えながら蟻組の微妙な調整を何回も繰りかえす。

11月7日 先生からソクイの硬さの指導がある。

手際よく進めないと糊が咬んでしまい付きが悪くなり隙間ができる。

ハタガネ(締め道具)等を使い、付きがいいようにしっかりと固めていく。 はみ出た糊を拭きとり、作業を丁寧に進めていく。

 ソクイの準備

11月8日 天板の裏打ち作業を終え、裏すきの作業へと進めていく。

先生による槍鉋を使っての裏すきの実演がある。

槍鉋は受講生には悪戦苦闘のように思えた。

裏すきは、甲盛りに仕上げた天板の厚みを均等にするために裏側をえぐる作業である。

サンドペーパー、木賊を使って、組み上がった箱の研磨作業へと進む。

次にイボタ、木、蜜を使って表面のコーティングを施して完成となった。

 蟻組の調整

 箱の仮組み

11月9日 全員の作品はおおよその形が出来上がったので、先生から講評を受ける。

(1)奇をてらうのが強くなりすぎないようにすること。

(2)視点が多すぎてアピールするところが分散しないようにすること。

(3)常にオリジナルを創作し未知の世界へ挑戦していくこと。

 槍鉋による裏すき

先生をまじえ、全員でこの2年間の研修会で得たもの、勉強になったことや、感じたことを話し合い、先生にお礼を述べて終了となった。(疋田達矢 記)

写真提供:出水伯明氏、安田正氏

第53回 日本伝統工芸展図録より転載



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製作著作
社団法人日本工芸会
2008