NIHON KOGEIKAI

重要無形文化財「紅型」伝承者養成研修会

講師:玉那覇有公(重要無形文化財保持者)

平成16年 9月21日更新


 国庫補助による平成14年度、平成15年度重要無形文化財「紅型」伝承者養成研修会が、重要無形文化財保持者の玉那覇有公先生を講師に迎えて行われました。

 地貼り

期間:平成14年 6月 3日〜 7日(5日間)
   平成15年 5月13日〜17日(5日間)    

場所:玉那覇工房(沖縄県読谷村残波岬)

受講生:6名(日本工芸会染織部会正会員)

内容:初年度 古琉球紅型の技法による実習

   次年度 現在、玉那覇工房で行われている紅型技法での実習

 表面型付け

第1年次 前日には全員が読谷村(よみたんそん)に入り、工房を見学、玉那覇先生から研修についての説明を受けた。両面紅型は表と同様に裏面にも型を置いて染め上げるもので、先生の技法の真髄ともいうべきものを研修する事となりました。

6月3日 先生から材料等の説明があり、生地は八重山上布を使用し、まずこれを板に貼りつける(地貼り)。型は先生お手持ちの型紙をお借りして、全員が同じ文様で型付けをする。糊は糯(もち)粉3小紋糠(こもんぬか)7塩少々を、2〜3時間蒸して群青色をつけたもの。ヘラは各人が用意したが、先生はアクリル板を切ったものを使用されていて全員がそれを使わせて頂く。生地を1メートル程度に区分けして各人それぞれが型を置いていく。表の糊置きの後、型板ごと外に出して天日乾燥させるが、沖縄の空は晴れてすぐ乾く。乾いた布を板からはがしながら太い巻芯で巻きとり、裏面の糊置きに移る。型板の端にガラス板を置き、下からライトをあてて表側の文様にぴったりと型を合わせて置いていく。糊に群青色がついている為に文様がはっきりとわかり、しっかりと型を合わす事が出来る。糊置きが終わった布を張手にはり伸子を支(か)って乾かす。その後豆汁(ごじる)とメイプルガムで作った溶液で両面地入れをして乾かす。

 裏面型付け

6月4日 配色を考えて色挿しをする。顔料は豆汁、泡盛、水で適当な濃度にして使用、色挿しは二度摺りで行うが、その一回目なのでうすめの顔料を表、裏と挿してゆく。

6月5日 色挿しが終わった上に二度摺りにかかる。挿刷毛、摺刷毛を同時にもって顔料を挿した後、摺刷毛ですりこんでいく。濃淡などのぼかしもこの時に入れ、全体に色が挿し終わった後、黒を摺りこむ。

 地入れ

6月6日 隅(くま)取りに入る。型板の上に帆布を敷いてその上で二度摺りの時と同様に刷毛をもち、かなりの強さで摺りこんでいく。隅取りは紅型の特徴の一つで、二度摺りが済んだ一部にさらに濃色を加えて刷毛で摺りこみ、ぼかしをつくり輝きと透明感をあたえていく。この時に使用する摺刷毛の作り方を先生に見せて頂く。沖縄産の細い竹筒を適当な長さに切り、そこに髪の毛の束をテグスで引っ張り入れて刷毛とし、先を整えて使用する。すり切れるたびに竹の先を切って毛を整え短くなるまで使っていく。

 色挿し

6月7日 隅取りが終わったら色止めのため明礬(みょうばん)を引き、乾かした後50分程蒸し(高圧の蒸気で色を定着させる)をする。すこし乾かした後、糊を落とすため水槽に入れる。糊をふやけさせている間に近くの読谷村花織組合の工場を見学させて頂いた。玉那覇工房に戻り、十分に糊がふやけたところで布をベニヤ板の上にのせ、シャワーをかけて糊をきれいに落としていく。青い糊が水に流れて図柄がくっきりと見えてきた時は感動的だ。水洗いの後は天日乾燥、濡れている布が乾いた部分から白場が輝く様に見えてきて美しい。出来上がった実習作品に先生から講評を頂いて1年次の研修を終えた。

 隅取り

第2年次 現在玉那覇工房で行われている工程を教えて頂きました。それは一度摺りの両面紅型です。

5月13日 用意された型の中から各人別々の文様をお借りし、八重山上布に糊置きをする事となった。今回は各自用意したヘラを使用して型を置き、天日乾燥する。裏面はガラス板にのせて糊置きし、乾かした後、濃い目の地入れを両面にする。

 水洗い(1)

5月14日 色挿し。今回は一度摺りで行うため、顔料も前年より濃い目のもので摺り込んでいく。

5月15日 裏面の一度摺りを行う。表側の挿し色がうすく見えるので、そこに同色を挿していく。この時は表の顔料より2、3割うすめたものを使用する。

 水洗い(2)

5月16日 次に隅取りに入る。隅で表現が決まる様に思えて慎重に進める。出来上がった布に明礬を引き、30分程蒸しに入れる。

5月17日 蒸し上がった布を水洗いする。水槽につけておいた布をベニヤ板に置き、ふやけた糊をシャワーで落とした後、糊抜き剤を入れたぬるま湯に20〜30分つけ、乾燥させる。十分に乾いた布を色止めの為にさらにライト・フィックスの溶液につけ張手にはって乾燥させる。

 講評

この間に読谷村歴史民俗資料館を訪れ、この風土が育んだ歴史資料や、展示されている先生の作品を鑑賞した。 工房に戻り乾いた完成布をならべて先生から講評を頂き、受講生から先生にそれぞれ感謝の言葉が述べられて2ヶ年にわたる研修を終了した。先生が長年研鑽をつんでこられた成果を惜しみなくお教え下さり、充実した10日間でした。

(大村禎一 記)

第51回 日本伝統工芸展図録より転載



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2008